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子育てとキャリア、「どちらか」ではなく「どちらも」選択できる社会に

特定非営利活動法人 ArrowArrow 代表理事 堀江由香里(2015/04/14)

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「変える人」No.17では、主に中小企業向けに産休・育休取得に向けたコンサルティングに取り組むNPO法人ArrowArrowの堀江由香里さんをご紹介します。

子育てしながら働けない職場

「内定をもらったけど、結婚して子育てしながら働くのは難しそうだから、辞退する」。
――大学三年生のとき、就職活動中の親友がもらしたことばだ。堀江さんが就職活動をしていたのは、最後の就職氷河期と言われる年。内定を獲得するだけでも困難な時期に第一志望の企業の内定を蹴るという親友の選択は、堀江さんにはとうてい理解できないものだった。

「そのときの私には、彼女本人に対する怒りが湧いていました。どうなるかわからない未来のために自分のキャリアを諦めるなんて、一体どういうことなんだと。そう話をして大喧嘩をしたんですが、彼女と別れて家に帰りながら、ふと、なぜ彼女はそんなことを言ってしまったんだろうと考えたんです」

 一体なにが親友をそこまで追い込んだのか。いろいろと調べてみると、女性の働きにくさを示すデータが山のように出てきた。明確な数値として現れる出産後の退職率。「子どもができたらどうか」というOGや現役社員のリアルな証言。

「こんなに働きづらい、働きづらいと言われていたら、『この会社で働きます』とは言えないだろうな、と思ったんです。それで、すごく短絡的ですが、いつか独立して働きやすい組織を自らつくって、そういう実例を社会に広げようと決意しました。そのときから、女性が子どもか仕事か、二者択一を迫られる社会に対する問題意識を持つようになり、それがArrowArrowの立ち上げにつながっています」

 大学卒業後は、人材業界に就職した。どのような企業で、どのような人が、どのように働いているのか、リアルな現場を見られると考えてのことだった。

「ベンチャー企業に入社したんですが、その頃はまだ産休・育休制度が整っているとは言い難く、女性は結婚を機に退職するか、結婚しないで男性と同じようにバリバリ働いて管理職になっていくか、二者択一の働き方の職場でした。3年くらいで独立しようと思っていたし、自分自身のワークライフバランスみたいなものは考えずに、社会の現状と厳しさを知れればいいと思って入社したんですが、自分が目指す社会と現実のギャップに悩む日々が続きました」

 人事部の立ち上げを任されるなど、忙しくも充実した日々を送っていたが、始発から終電まで働き詰めの毎日は、体力的には辛いものだった。ハードワークに耐えられず、退職していく女性社員を幾人も見送った。そんなときに出会ったのが、NPO法人フローレンスだった。

「『子育てと仕事の両立が当たり前の社会』の実現を目指すNPO。つくりたい未来のビジョンと事業がつながっている仕事。私が目指しているものにぴったりだと感じ、フローレンスへの転職を決意しました」

 駒崎弘樹氏が代表を務めるフローレンスは、病児保育や小規模保育の取り組みで有名なNPOだが、その目指すところは、「子育てと仕事、そして自己実現のすべてに、だれもが挑戦できるしなやかで躍動的な社会(フローレンスホームページより)」。それは、まさに堀江さんの目指すものだった。
 新卒で入社した人材会社を3年で退職し、フローレンスに転職した堀江さんは、ワークライフバランスに関するコンサルティングや病児保育事業に取り組む中で、「働く女性」を取り巻く課題の大きさを身に染みて感じることとなる。

「たくさんのワーキングマザーと出会う一方で、妊娠を機に退職する女性が7割もいることを知ったんです。フローレンスでの仕事はとてもやりがいがありましたが、私はそうした状況の改善に取り組みたいと思うようになり、フローレンスを卒業して、産育休取得のサポートを行うNPO法人をつくることに決めました」

 「子育てや介護を理由に選択肢を狭めるようなことがないようにしたい」というビジョンは共有しつつも、フローレンスとは違う道のりで課題に挑むことにしたのだ。フローレンスの事業のメインは「保育」だが、堀江さんはそのさらに前段階、「育休・産休」取得から復帰までの制度を整備するための取り組みを始めた。それが「ArrowArrow」だ。

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