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アプローチ次第で能力は伸ばせる

株式会社Kaien 代表取締役 鈴木慶太(2014/09/09)

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鈴木慶太さんのインタビュー第一回はこちら:「発達障害を理由に可能性を狭めたくない」

障害者手帳取得への心理的な壁

 Kaienが行っているのは、発達障害者を就職させるための支援事業。主に厚生労働省の予算で、発達障害をもつ人々に職業訓練を提供し、訓練を終えた人々を企業へ紹介する。

「要するに、福祉の公共事業ですね。他の介護福祉事業と同じように、厚労省の制度に基づいて運営しています。障害者支援の分野でも、生活支援や子ども向けの支援などいろいろありますが、当社で主に行っているのは、失業している人たちを就職させるための支援です」

 本人や親が費用を負担するかたちで、子ども向けの職業体験や大学生向けの内定塾のようなものも行っているが、メインターゲットは失業中の社会人だ。

「発達障害の肝は、自分を客観視するのが難しいこと。ですから、自分がずれているとか、空気が読めていないというような、“曖昧なこと”を認識するのが大変です。それでも、たとえば自分が就職できないという“事実”はわかる。そうして、自分は人となにか違うのかな、弱いところがあるのかな、と思い始めたときに、発達障害に関する本や記事を目にして、『自分がいる!』と、発達障害というキーワードで調べていくうちに当社にたどり着く、という方が多いようです」

 クリニックで診断を受ける前にKaienを訪れる人も多い。発達障害の診断がない人でも受けられるサービスもあるが、行政の予算を利用したサービスの場合は、障害を証明するものがなければならないため、クリニックでの受診を勧めることもある。

「ただ、これも難しいところなんです。仕事をする上でほかの多くの人と同じようにいろんなことをこなせるわけじゃないという現実はわかる。だけど、ふつうに生活する分には困らないから、自分が障害者と言われると違和感があるのは当然だと思います。障害者手帳を取得して、『自分がいままでプレッシャーに感じてきたことは障害が原因だったのか、なるほど。だったら手帳があるほうが就職先が探しやすい』と思える人もいれば、自分が障害を持っているということを認められない人もいます」

 子どもの頃に発達障害に気づき、早くから療育手帳などを取得してケアされている場合は本人も周囲も慣れているが、大人になってから発達障害に気がつくと、障害者手帳の取得に対する心理的なハードルが高くなりやすい。生まれつきの発達障害に後天的な要素が絡んでくるので、障害なのか性格なのか、より複雑にもなる。そうした大人の発達障害にはどのようなアプローチをしているのだろうか。

「こだわりがある、というのが発達障害の多くの人が持つ特徴なので、こちらから一方的に話して聞かせて説得するという感じではありません。じゃあどうするかというと、納得感のある失敗をしてもらいながら、徐々に自分の障害を認知してもらうんです。ほんとうはソフトランディングができたらいいんですけどね。現実的には、傷つき傷つき、でもそれが致命的な挫折にならないように気を配りながら、という感じになります。やっぱり長い時間がかかりますね。だけど、一度理解してくれれば、真面目でまっすぐな人が多いので、こちらのサポートも受け入れてくれます」

 いま、日本で障害者手帳を持っている人は全人口の5.8%と推計されている。障害者に交付される手帳は「身体障害者手帳」「療育手帳(知的障害者)」「精神障害者保健福祉手帳」の3つがあるが、発達障害の場合は症状により、療育手帳または精神障害者保健福祉手帳の交付対象となる。

「とは言え、発達障害で手帳を取得できるようになったのは、実は2010年頃からです。それまでは、先天的な発達障害で周囲と馴染めないことで苦しんで後天的に鬱になって、そうした二次障害で精神の手帳をとっている人がかなりの割合でいました。実は行政の統計上はその辺はきちんと分けられていない。だから、発達障害を持つ人の中で、発達障害を主訴に手帳を取得している人はまだごく一部だと思いますが、今後は増えていくと思います」

 手帳の取得が認められるようになるなど、発達障害に関する制度の整備は着実に進んでいると鈴木さんは感じているが、子どもに向けたものが中心で、大人への支援はまだまだだという。

「発達障害の認知も制度上の整備も、小さい子どもに向けたものから広がり始めていると思います。小中学校、つまり義務教育までは、認知も制度もできてきたと思いますが、高校、大学、企業はまだ不十分。そこをうちは逆から攻めて行っているので、特徴があるのだと思います。先を知っているという点で

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